狭山事件における最大の物証とされたのが、被害者宅に届けられた「身代金要求の脅迫状」です。この脅迫状には複雑な漢字が用いられており、当時の石川氏の識字能力では到底書けない代物でした。
確定判決では、石川氏が取り調べ中に書いたとされる文字と脅迫状の筆跡が同一であると判断されました。しかし、近年の再審請求において提出された最新の法科学的筆跡鑑定(下山鑑定など)やコンピューター解析により、その判断は根底から覆されています。
最新の筆跡鑑定では、筆順の癖、配字のバランス、運筆速度の違いなどが科学的に数値化され、脅迫状の筆者と石川氏の筆跡は「完全に別人である」という結論が導き出されています。文字が書けなかった青年が、捜査機関によって誘導され書かされた文字が証拠として扱われていた実態が、科学の力で鮮明になりつつあります。