模試の現場で受験生が最も混乱し、合否の境界線がくっきりと分かれるのが、理系科目における選択問題のトラップです。全統記述模試 数学 範囲および全統記述模試 理科 範囲の実態を精査すると、そこには制度設計上の深い意図が隠されています。
数学:数Ⅲ・数Cの選択問題がもたらす「見せかけの偏差値」
第1回記述模試の理系数学では、数Ⅲ・数C(極限・微分・複素数平面など)の範囲を含めるか、数ⅠA・数ⅡB・数BC(ベクトル)のみで受験するかを選択できる設問パターンが用意されています。地方の公立進学校の多くは高校3年生の春時点で数Ⅲの微分積分に入ったばかりであるため、多くの現役生が数ⅡBまでの問題を選択します。
しかし、難関国公立大学の二次試験では数Ⅲ・数Cからの出題が全体の4割から6割を占めるのが通常です。春に数ⅡBだけで偏差値65を取ったとしても、それは「数Ⅲを含まない限定空間での数値」に過ぎません。第2回以降、数ⅢCの必須問題比率が高まるにつれて、数Ⅲを前倒しで完成させていた中高一貫校生や浪人生に一気に逆転される現象が頻発します。
理科:物理・化学・生物の「未習分野」による残酷な失点
理科の状況はさらに深刻です。第1回の物理は力学中心、化学は物質の構成や状態変化といった理論化学初期に限定されています。しかし第2回では電磁気学や無機・有機化学、第3回では原子物理や合成高分子化合物が容赦なく出題されます。公立高校のカリキュラムでは、有機化学の高分子分野や物理の原子分野が終わるのは高校3年生の11月以降になるケースも珍しくありません。
学校の授業を待っていた現役生は、第2回・第3回の模試で「習っていない大問を丸ごと白紙で提出する」という悲劇に見舞われます。大問1つ(20〜25点分)を失うことは、偏差値換算で5から8ポイントのマイナスを意味します。
英語:単語力・文法力から「長文要約・論理記述」への変貌
全統記述模試 英語 範囲は一見すると「全範囲」と表記されていますが、第1回と第3回では要求される処理能力の質が根本から異なります。第1回は標準的な語彙力と正確な英文解釈(和訳能力)が重視されますが、第2回以降は700〜900語前後の長文読解、英文の主旨を的確にまとめる要約問題、80〜100語程度の条件付き自由英作文が標準装備されます。文法問題を解く感覚で挑んだ受験生は、圧倒的な時間不足に直面することになります。