昭和から平成初期にかけて、アニメソングの制作体制は専属歌手とレコード会社、そして制作プロダクションとの強力な連携によって支えられていた。橋本潮氏が所属・活動していた日本コロムビアは、数々の名作アニメの音楽を手掛け、アニソン界の絶対的な名門として君臨していた。また、東映アニメーションが手掛けた名作群も、彼女のような実力派シンガーの歌声によって作品世界を完成させていた。
当時の制作環境は、アーティストが制作陣の指定した楽曲を緻密に歌い上げるシステムが主流であり、個人の私生活や思想が前面に出る機会は極めて限定的だった。しかし、時代が下るにつれて音楽業界のビジネスモデルは劇的に変化した。過去の契約形態や二次利用を巡る権利問題、そしてアーティスト自身の地位向上をめぐる葛藤が、長年の間に蓄積されていった歴史的背景を見過ごすことはできない。