「埼玉の日光」という異名は伊達ではない。本殿を彩る社寺建築・美術彫刻の数々は、18世紀中頃に全国から集められた名工たちが約44年の歳月をかけて完成させた最高峰の結晶だ。鷲が子猿を助ける劇的な一瞬や、七福神が身をよじるように楽しむ表情など、一コマ一コマに人間味あふれるストーリーが緻密に彫り込まれている。
かつて歳月の経過とともに色彩が薄れかけていた時期があったが、文化庁の指導のもとで約6年間に及ぶ「国宝本殿平成大修理プロジェクト」が実施された。最新の科学的分析と伝統技術の融合により、建設当時の眩いばかりの極彩色は見事に現代に蘇った。彫刻の裏に隠された幾何学的な構造や職人が仕掛けた粋な意図は、現地でボランティアガイドの説明を聞きながら眺めることで、初めてその真価を理解できる。