平穏な路面の下で一体何が起きていたのか。行政および地盤工学会の専門家チームによる現地調査が進むにつれ、埼玉の陥没事故の原因が浮き彫りになってきました。その主因として特定されたのが、道路直下に敷設されていた下水管の老朽化です。
高度経済成長期に集中的に整備されたコンクリート製の下水管は、敷設から法定耐用年数(50年)を大幅に超過しているケースが少なくありません。管内部で発生する硫化水素ガスによってコンクリートが腐食し、ひび割れや継ぎ目のズレが生じます。そこから周囲の土砂が長年月をかけて管内へと吸い込まれ、地下深くに目に見えない巨大な「空洞」が形成されていきます。
路面のアスファルトは一定の強度を持つため、直下の土が失われても表面上は平坦を保ち続けます。しかし、大型トラックの荷重(輪重)が限界点を超えてかかった瞬間、支えを失ったアスファルトの天井が一気に抜け落ちる「突発的陥没」へと至るのです。