事件の凄惨なリアリティは、のちに映画業界にも絶大な影響を与えた。鬼才・園子温監督が手掛けた2011年の映画『冷たい熱帯魚』は、まさにこの事件をモチーフとして制作された過激なサスペンス作品である。
作品内では舞台が熱帯魚店へと置き換えられているものの、狂気に満ちたオーナーが気弱な店主を泥沼の犯罪へと巻き込んでいく展開や、容赦ない解体シーンの描写は、実際の事件が持っていた陰惨な熱量を生々しく再現している。フィクションという枠組みを通すことで、かえって現実の事件が持っていた「日常のすぐ隣にある狂気」が際立つ結果となった。映画業界内外で大きな物議を醸した本作は、邦画サスペンスの金字塔として今なお高い評価と衝撃を与え続けている。