待合室の喧騒。鳴り止まない電話。救急外来は常に戦場だ。そこに導入されたのが、患者のスマートフォンから事前に入力されたデータを解析するAI問診システムである。
トリアージ(重症度判定)のスピードは従来の3倍に跳ね上がった。見落とされがちだった微細な症状から、隠れた重症患者を瞬時にあぶり出す。看護師の負担は確かに減った。しかし、あるベテラン看護師は「画面ばかりを見て、患者の『顔色』や『呼吸の乱れ』といった五感の情報を疎かにしてはならない」と警鐘を鳴らす。デジタルが万能ではないことを、誰よりも現場が知っている。