航空自衛隊が主導するこの任務の核となるのは、地球低軌道から静止軌道に至る広大な空間の監視である。秒速約8キロメートルという凄まじいスピードで周回するスペースデブリ(宇宙ゴミ)は、わずか数センチの破片であっても数千億円規模の通信衛星や気象衛星を瞬時に破壊する猛威を振るう。部隊の司令室では、これら浮遊物の微小な軌道変化を数ミリ秒単位で予測し、重要な衛星との衝突を回避する精密な運用が日々行われている。
さらに現場の緊張感を高めているのが、防衛目的や軍事偵察と目される他国の「殺手衛星(キラーサテライト)」の動きだ。自国の人工衛星に異常接近し、ロボットアームで捕獲したり通信信号をジャミング妨害したりする巧妙な動きを迅速に察知しなければならない。見えない暗闇の中で繰り広げられる攻防の裏側には、高度なデータ解析能力を備えた専門官たちが神経をすり減らす作業が存在する。