文化人や芸能人が政治的アクションを起こす際、大きな受け皿となってきたのが「憲法九条の会」(九条の会)に代表される平和運動である。改憲論議が高まるなかで、憲法第9条の堅持を訴える声は、特に戦中・戦後を生き抜いた旧世代の演劇人や映画人の間で根強い。
演劇界においては、社会の矛盾や人間の尊厳を問う社会派演劇の伝統が息づいている。劇場という空間で社会問題を投げかけてきた俳優や演出家たちは、自然な流れとして平和運動に身を投じてきた。原爆投下後の広島を描いた歴史的傑作である映画『父と暮せば』をはじめ、悲劇を風化させないための作品創出と政治的発言は地続きの関係にある。
彼らの活動は、単なる個人的な政治嗜好にとどまらない。作品を通じて社会に問いを立てる表現者としての矜持が、平和運動への参画という形で発現しているのだ。