映画界に目を転じると、「人を追う」という行為の心理的恐怖とスリルを最も純粋な形に昇華させた金字塔が存在する。名匠クリストファー・ノーラン監督のデビュー作『フォロウィング』だ。ロンドンの街頭で見知らぬ人々を無差別に追跡し、その生活を覗き見することに没頭する売れない作家の姿を描いたこの作品は、観客に強烈な不快感と知的好奇心を与える。
ノーランはこの作品で、追う側がいつの間にか「追われる側」へと変貌していく逆転の構造を見事に構築した。見知らぬ誰かの後ろを歩くとき、人はその他大人の観察者から、対象の人生に不可逆的な影響を与える当事者へと足を踏み入れる。ノーランが描いたこの原初的な視線の執着は、その後の作品群へと続く、時間と記憶の迷宮構造の原点となっている。