象というモチーフは、視覚芸術の歴史において特殊な位置を占めている。絵本文学の金字塔として知られるフランスの作家ジャン・ド・ブリュノフの手による『ぞうのババール』は、象を人間社会の洗練された象徴として描くことで、世界中の読者を魅了した。二足歩行で緑色のスーツを着こなすその優雅な姿は、動物の擬人化におけるエポックメイキングな功績である。
一方で、アメリカの巨匠ウォルト・ディズニーが手がけた1941年の長編アニメーション『ダンボ』は、大きな耳を持つ愛らしい小象の物語を通じ、感情移入を生むキャラクターデザインの基盤を打ち立てた。ウォルト・ディズニー・カンパニーが築き上げたこのクラシック作品の造形美とアニメーション技術は、その後のアニメーション産業全体における動物表現の方向性を決定づけ、今日に至るまで表現者たちの貴重な道標となっている。