スマートフォンの画面をスクロールする速度は年々加速している。瞬時にユーザーの目を留めるためには、完璧に整っただけの顔では足りない。視線を引きつけるのは、どこか謎めいた、感情の揺らぎを感じさせる表情だ。
TikTokやInstagramのリール動画でバズを連発するのは、カメラをじっと見つめる視線の強さや、ふとした瞬間に見せるアンニュイな表情である。静止画の時代から動画の時代へと完全に移行したことで、表情の「動線」そのものがコンテンツ化した。0.5秒で脳裏に焼き付くような、湿度を帯びた表情がデジタル空間を支配している。