結論から言えば、この事件において直接的な死者は出ていない。しかし、それは奇跡的な偶然と、乗客たちの必死の避難行動、そして医療従事者の迅速な処置が重なった結果に過ぎない。
事件当時、特急電車の中は地獄絵図と化していた。服部受刑者に刃物で胸を刺された70代の男性乗客は、一時意識不明の重体となった。刃物は肺の近くまで達しており、一歩間違えれば命を落としていたことは確実だった。この男性のほかにも、煙を吸い込むなどして16人が重軽傷を負っている。凄惨な現場写真や、窓から必死に脱出する人々の映像がリアルタイムで拡散されたため、「誰かが亡くなったのではないか」という思い込みが人々の記憶に強く刻まれることとなった。