小麦本来の深い甘みと、気泡が大きく開いた軽いコルニチョーネを目指すなら、微量のイーストを用いた「低温長時間発酵(オーバーナイト発酵)」が真骨頂を発揮します。イースト量を粉全体の0.3〜0.5%程度に抑え、冷蔵庫内で12〜24時間かけてじっくり発酵させることで、小麦粉中の酵素がデンプンを糖に、タンパク質をアミノ酸(旨味成分)へと分解します。
手ごね(ニーディング)のプロの技術
手ごねのプロセスでは、力任せに生地を押しつぶすのではなく、空気を抱き込ませる意識が不可欠です。水、塩、イーストを溶かした水溶液に粉を8割加え、しっかりと混ぜてから残りの粉を投入します。ボウルから出したら、生地を奥へ伸ばして手前に折り返す「すりごね」を約5分行い、その後生地を持ち上げて台に叩きつける「叩きごね」を3〜5分繰り返します。
生地の一部を指先で薄く広げた際、ちぎれずに向こう側が透けて見える「グルテンウィンドウ」が確認できればこね上げ完了です。こね上げ目標温度は22〜24℃を厳守してください。
成形時の鉄則:綿棒は絶対に使わない
発酵したナポリ風ピザ生地を伸ばす際、綿棒の使用は厳禁です。綿棒で押しつぶすと、長時間発酵によって蓄積された大切な炭酸ガスの気泡がすべて破壊されてしまいます。打ち粉(セモリナ粉または強力粉)をたっぷり振った台の上に生地を置き、中央から外側へ指の腹を使って優しく気泡を「縁(コルニチョーネ)」へ押し出すように広げます。最後に両手で生地を持ち上げ、回転させながら遠心力と自重で直径約25cmまで円形に伸ばすのが本場の技術です。