日本の競技水泳において、平泳ぎは常に世界の頂点を争う伝統の種目だ。かつて北島康介が世界を震撼させたアテネ・北京での爆発的なキック性能は、鋭い足首の返しと完璧なボディポジションに支えられていた。彼の泳ぎは、日本中のスイマーに「効率的なキック」の重要性を知らしめる原点となった。
その伝統は現代の渡辺一平へと受け継がれ、さらに洗練されている。渡辺の長身を生かした長いグライドと無駄のないキックは、流体力学的に洗練された最新フォームの結晶と言える。世界水泳連盟が規定するルール改定の歴史とともに、トップアスリートたちのキック技術も「力任せのキック」から「抵抗を最小限に抑える省エネ推進力」へと進化を遂げてきた。