ネット上の批判的な言説の中に「大金を手にして高級ブランドを買い漁っているだけの成金趣味」というものがあります。しかし、これは彼のファッション遍歴とカルチャーへの深い理解を見落とした浅薄な誤解です。
平本蓮は、キックボクシング時代や高校生の頃から原宿のストリートに通い詰め、裏原宿カルチャーや90年代から2000年代のドメスティックブランド(UNDERCOVERやNUMBER (N)INEなど)のアーカイブを熱心に掘り下げてきた生粋のカルチャーチルドレンです。単に「最新コレクションのロゴもの」を着ているのではなく、バンドTシャツのヴィンテージ(ニルヴァーナやアイアン・メイデンなど)や、過去の名作アーカイブピースを現行のハイメゾンと巧みに衝突させる「脱構築的なスタイリング」を実践しています。
また、彼は服の「文脈(コンテクスト)」を徹底的に理解した上で身に纏っています。どのデザイナーが何を意図してその服を作ったのか、そのシルエットが歴史的に何を意味するのかを熟知しているからこそ、服に着られることなく、自らのアイデンティティの一部として昇華できるのです。表面的な価格の高さだけを見て「成金」と断じる評価は、彼のスタイリングが持つ構築的な知性を完全に見誤っていると言わざるを得ません。