階段を降りきった先で訪れる者を迎えるのは、手作りの温もりに満ちたロビー空間だ。壁一面を埋め尽くすスタッフ手描きの作品解説、キャラクターのペーパークラフト、趣向を凝らした展示物。どれもが商業主義のポスターや無機質な液晶モニターにはない、人間の人間たる体温を宿している。
シネコンでは、最新作の宣伝がビジネスライクに並ぶのが常だ。だがここでは違う。スタッフ一人ひとりが作品を鑑賞し、どこに心を動かされたのか、どのシーンの影に注目してほしいのかが、熱量あふれる手書きの文字で幾重にも綴られている。映画を観る前から観終わった後まで、観客はスタッフの溢れんばかりの情熱と対話しているような感覚に包まれる。この泥臭くも丁寧なコミュニケーションこそが、リピーターの足を向かわせる最大の磁力なのだろう。