ペギー葉山の代名詞といえば、真っ先に思い浮かぶのが「南国土佐を後にして」と「ドレミの歌」だ。だが、これらの名曲が世に広まる背景には、いくつものドラマが存在した。「南国土佐を後にして」は、元々高知出身の兵士たちの間で歌われていた部隊歌が原曲。それを彼女が持つ独特の気品と情感で歌い上げたことで、全国的な大ヒットへと昇華した。南国の情景が浮かぶ伸びやかな声は、復興へと向かう当時の日本人の心に強く響いたのだ。
一方、「ドレミの歌」には彼女自身の並々ならぬ情熱が注がれている。ミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』の挿入歌を日本語で歌うにあたり、訳詞の作成にも深く関わった。「ドはドーナツのド」という親しみやすい歌詞は、子どもたちが笑顔で口ずさめるようにと工夫を重ねた結果生まれたものだ。単なる海外曲のカバーではなく、日本文化にしっかりと根付かせた彼女の功績は極めて大きい。