東近江を語るうえで外せないのが、聖徳太子にまつわる濃密な伝承と精神文化の深さだ。市内には太子ゆかりの寺社が点在し、日本仏教の黎明期から続く祈りの場が大切に守り継がれてきた。巨岩がそびえる太郎坊宮や、紅葉の名所としても知られる百済寺など、山岳信仰と歴史が交わるパワースポット群は圧巻の存在感を誇る。
近年、欧米豪を中心とした富裕層トラベラーの間で、表面的な観光名所巡りから「精神的な充足や自己探求」を求めるリトリート需要が高まっている。まさに東近江の文化資源はこの潮流と合致した。静謐な空間で行われる座禅体験や宿坊滞在、山伏のガイドによる古道歩きは、知的好奇心に満ちた旅人たちを魅了してやまない。
さらに、海外のメディア関係者が制作する歴史文化ドキュメンタリーの題材としても脚光を浴びている。悠久の歴史が日常の営みの中に溶け込む風景は、日本固有の精神性を映し出す鏡として、世界基準のカルチャーコンテンツへと昇華されつつある。