循環器系で優位性を誇るO型だが、消化器系疾患や特定の感染症に対しては特有の脆弱性を示してきた。代表例が胃潰瘍や十二指腸潰瘍である。ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)は、O型の赤血球や胃粘膜細胞の表面にある特定の糖鎖構造に強く結合する性質を持つ。その結果、組織への定着が容易となり、粘膜傷害や炎症が引き起こされやすくなるのだ。
一方で、人類の歴史を揺るがしてきた感染症「マラリア」に対しては、O型が進化の過程で獲得した強固な防壁が存在する。熱帯熱マラリア原虫に感染した赤血球は、通常であれば周囲の健全な赤血球と凝集して「ロゼット形成」と呼ばれる塊を作り、微小血管を塞いで重症化を招く。しかし、O型の赤血球はこのロゼット形成を起こしにくいため、マラリアの重症化率や死亡率が著しく低い。進化生物学の視点からも、O型が熱帯地域で一定の割合を保ち続けてきた理由がここにある。