千切りにしたキャベツを水に放つ工程には、科学的な理由が存在します。切断面の細胞が冷水に触れることで、細胞内の浸透圧が高まり、細胞壁がピンと張ってシャキッとした食感が生まれます。また、キャベツ特有の青臭さや、揮発性のイオウ化合物(辛み成分)が水へと抜けるため、甘みが引き立ちます。
しかし、ここで最大の落とし穴となるのが千切りキャベツの栄養価の流出です。キャベツには、胃粘膜を保護・修復するビタミンU(キャベジン)や、抗酸化作用を持つビタミンC、カリウムなどの水溶性栄養素が豊富に含まれています。文部科学省の日本食品標準成分表に基づく分析でも明らかなように、水溶性ビタミンは水に長時間浸すほど急速に溶け出します。
実験データによると、氷水に10分以上放置した場合、ビタミンCやカリウムの約20〜30%が水中に流出してしまいます。栄養を損なわずに最高の食感を得るための正解は、「氷水に1〜2分だけ潜らせ、素早くザルに上げて水気を徹底的に切る」ことです。サラダスピナー(野菜水切り器)を使って遠心力で余分な水分を弾き飛ばすことで、べちゃつかずふわふわな仕上がりが完成します。