母親がかつて使っていたお雛様を娘に譲ったり、姉妹で1つのセットを共有したりすることの是非については、伝統的な役割を理解しておく必要があります。
人形業界や神社本庁の考え方において、お雛様のお下がりがNGとされる理由は、前述の通りお雛様が持ち主個人の厄災を引き受ける「身代わり(形代)」だからです。他人の厄を肩代わりした人形を譲り渡すことは、厄まで一緒に引き継がせることにつながるという解釈から、本来は「一人にひと飾り」が基本とされています。
子どもが成人して独立したり、家庭の事情で手放す必要が生じた場合には、適切なお雛様の供養・処分方法を選択することが大切です。各地の神社や寺院で執り行われている「人形供養(お焚き上げ)」に持ち込むのが最も代表的ですが、遠方で参列が難しい場合は、郵送受け付けに対応している寺院や一般社団法人の人形供養代行サービスを活用できます。感謝の気持ちを込めて塩を振って清め、自治体の規定に沿って処分することも決してタブーではありませんが、長年の愛着に応える意味でも供養を選ぶ家庭が多数派です。