中村福助 家系図を語る上で外せないのが、父である七代目中村芝翫の存在だ。七代目中村福助(後の七代目中村芝翫)は五代目中村福助の長男で、昭和三年生まれ。昭和十六年に七世を襲名。六世尾上菊五郎に預けられて修行し、気品があり舞踊が優れ、時代物に格調ある正しさは定評があった。中村流舞踊の家元でもある。
つまり九代目福助にとって、父は単なる先代ではなく、舞踊の家元であり、歌舞伎界のひとつの頂点に立つ存在だった。父・七代目芝翫から流れる成駒屋の女方芸の継承者として活躍するほか、義兄・十八代目中村勘三郎が生前に企画し旗揚げした「コクーン歌舞伎」でも弟・三代目橋之助(当時)とともに出演していた。その活躍の幅は、古典の舞台にとどまらなかった。
また、2011年10月に父の死去により、九代目福助は日本舞踊中村流の宗家に就任した。歌舞伎役者としての顔と、舞踊流派の宗家という二つの責務を同時に背負うことになったわけだ。