時代を彩る傑作の中で、ショートボブは常に鮮烈な記憶を残してきた。是枝裕和監督の映画『海街diary』で広瀬すずが見せた瑞々しい佇まいは、幼さと大人びた表情が同居する絶妙なヘアスタイルによって、四女・すずの孤独と成長を雄弁に物語っていた。甘さを排した直線的なラインが、瑞々しい演技と共鳴した名シーンである。
一方で、圧倒的な熱量で視聴者を叩きのめしたNetflixのドラマ『極悪女王』における清野菜名たちの肉体改造とビジュアル変容は記憶に新しい。80年代女子プロレスの過酷な世界を生き抜くレスラーたちを演じるにあたり、髪をバッサリと刈り込むような壮絶なスタイルチェンジを敢行。ヒューマンドラマとしての深みを決定づけたのは、泥と汗に塗れながらも意志を失わない、力強いおかっぱやショートカットのシルエットだった。役者の肉体と髪型が一体となったとき、物語は虚構を超えたリアリティを獲得する。