こうした流れの原点を振り返ると、1990年代後半に一風を巻き起こした『セックス・アンド・ザ・シティ』に行き着く。NYを舞台に、女性たちの性生活や本音の会話をポップかつオープンに表現した同作は、世界中の女性観客に解放感を与えた。しかし、どこかスタイリッシュで洗練された夢物語という側面も残していた。
その理想郷を打ち砕き、よりリアルな地平へ引きずり降ろしたのが、HBOで放送され一時代を築いた『GIRLS/ガールズ』だ。弱冠20代で脚本・監督・主演を務めたレナ・ダナムは、画面の中に「美しく整えられていない本物の身体」と「格好悪い葛藤」を持ち込んだ。この作品の登場以降、女性が抱く欲望の複雑さや不快感すらも愛おしく描く表現が、カルチャーのメインストリームへと昇華されたのである。