こうした危機感から、理研も手をこまねいていたわけではない。世界トップクラスの業績を持つ研究者を招聘するため、年俸制の導入や、一部のスター研究者に対して数千万円規模の破格の報酬を提示できる制度を整備した。
だが、この改革は組織内に新たな歪みを生む結果となっている。ごく一部の「スター」が莫大な予算と高額な報酬を手にする一方で、彼らの研究を実質的に支える実験助手や技術スタッフの給与は据え置かれたままだ。研究はチームプレーである。一人の天才だけでは成り立たない。現場のサポートメンバーが低賃金で酷使される構造が変わらない限り、真のイノベーションは生まれないだろう。