「穴が開いた=虫食い」と決めつけてしまいがちですが、実はニットの穴あき原因の半分近くは物理的な負荷によるものです。原因を誤認していると、いくら防虫剤を投入しても穴あき被害は止まりません。
穴あきの二大原因を整理すると、以下の違いが浮き彫りになります。
第一に、物理的断裂です。シートベルトの摩擦、ショルダーバッグの金具との接触、あるいはデスクの角での擦れによって、糸が徐々に摩耗してプツンと切れるケースが該当します。特に脇の下や裾、袖口の穴は、虫食いではなく日常の摩擦や引っ掛けが原因である可能性が濃厚です。
第二が、本当の虫食い害です。犯人の多くは「ヒメカツオブシムシ」や「ヒメマルカツオブシムシ」の幼虫です。彼らはウールやカシミヤ、シルクといった動物性天然繊維に含まれるタンパク質を好みますが、実は皮脂や食べこぼしが付着したアクリルや綿などの化学繊維も一緒に食害するという盲点があります。
ネット上では「化繊ニットだから虫食いは起きない」という言説が散見されますが、これは明確な誤解です。一度でも袖を通したニットには目に見えない皮脂汚れが染み込んでおり、幼虫にとっては絶好の栄養源となります。
確実なニットの虫食い予防のためには、長期保管前の「しまい洗い(ドライクリーニングまたは適切な手洗い)」で皮脂を完全にリセットすることが先決です。さらに防虫剤の成分(ピレスロイド系など)は空気より重く上から下へと広がるため、衣装ケースの「衣類の一番上」に置かなければ効果が十分に発揮されません。