社会的に極めて重要な役割を果たしながらも、経済的報われにくさが指摘され続けているのが介護・福祉業界だ。高齢化社会を支える不可欠なインフラであるにもかかわらず、介護報酬という国が定めた制度上の上限が存在するため、事業者側が独自に大幅な値上げをして給与に還元することが極めて難しい。その結果、過酷な体力労働と精神的ストレスに見合うだけの賃金上昇が実現しにくく、慢性的な人材不足と離職率の高止まりという負のループに陥っている。
一方、飲食・サービス業界もまた、熾烈な低価格競争と原材料費の高騰に挟まれ、苦境に立たされている。店舗オペレーションの省人化が進むものの、人件費率の抑制が経営の至上命令となる構造上、現場スタッフの給与水準は伸び悩みがちだ。どちらの業界も個人の能力や努力の問題ではなく、産業の構造自体が低収益・低賃金を強いる仕組みになっている点が深刻と言える。