2006年、自治体のネーミングライツ事業として全国的にも注目を集めた命名から20年。芋焼酎「富乃宝山」で知られる西酒造がパートナーとなって以来、「宝山ホール」の名はすっかり県民の生活に溶け込んだ。地方自治体の公共施設命名権が数年で更新されず途絶えるケースも少なくない中、20年間にわたる安定したパートナーシップはきわめて珍しい成功例だ。
行政の財政負担を軽減しながら、民間の活力を文化振興にダイレクトに還流させる。その洗練されたアプローチは、九州各地の自治体が視察に訪れるモデルケースとなった。単に看板を掛け替えただけではない。企業文化と地域の芸術施策がしなやかに調和し、市民に心から愛される呼称として定着した実績こそが、この20年が残した最大の財産だ。