1年間という長丁場の特撮現場は、新人俳優にとって過酷な登竜門として知られています。『仮面ライダードライブ』の現場も例外ではなく、早朝4時台の集合、冬場の極寒ロケ、真夏の過酷なアクション撮影など、心身ともに極限状態での制作が続けられました。
当時、主演の竹内涼真(泊進ノ介役)とは毎日のように台本の読み合わせを行い、監督やプロデューサー陣からの厳しい演技指導に対して共に涙を流しながら食らいついたという逸話が残っています。お互いに芝居の基礎を叩き込まれる中で生まれた信頼関係は、劇中における進ノ介と霧子の絶妙なコンビネーションにそのまま反映されていきました。
さらに物語をドラマチックに彩ったのが、霧子の弟・詩島剛(仮面ライダーマッハ)を演じた稲葉友、そして心を通わせる敵幹部・チェイス(仮面ライダーチェイサー)を演じた上遠野太洸の存在です。特に後半、人間とロイミュードの狭間で揺れるチェイスと霧子の切ない情愛、そして姉を守るために命を削る剛との家族愛の描写は、内田理央の感情表現を極限まで引き出しました。
当時の特番インタビューや公式ムックの証言によると、チェイスの最期を看取るシーンの撮影前夜、内田理央は台本を抱きしめながら一睡もできずに現場入りしたといいます。張り詰めた緊張感の中で流した彼女の涙は、作られた芝居を超えた本物の感情として、今なおファンの間で語り継がれる名シーンとなっています。