監督を務めた宮崎駿にとって、本作は極めてプライベートで個人的な嗜好が色濃く反映されたアニメーション映画である。かねてより軍用機や飛行艇への深い造詣を持つ監督は、作品内に過剰なまでのディテールで空戦メカニズムを描き出した。
圧巻なのは、地中海の青空と白い波飛沫をバックに繰り広げられる激しい飛行艇アクションだ。エンジンの駆動音、風を切る翼の振動、水面を滑走する緊張感が手描きアニメーションの極致として表現されている。のちに実在の航空技術者の半生を描いた映画『風立ちぬ』へと結実する大空への情熱と愛憎半ばする文明観は、すでにこの時代から確固たるテーマとして存在していた。ポルコというキャラクターは、時代に抗いながら空を愛し続ける宮崎監督自身の自画像そのものだったと言えるだろう。