ハウルという人物の本質は、徹底した「弱さ」と「脆さ」にある。金髪をなびかせる美しい魔法使いでありながら、部屋はまじないの道具で足の踏み場もなく、髪色が思い通りにならないだけで「もう生きていけない」と絶望する。そんな彼がサリマン先生や国家の徴用を逃れるために選んだ手段こそが、鳥となって空を飛ぶことだった。
鳥の姿は本来、自由の象徴であるはずだ。だがハウルの場合は違う。戦場へと赴き、戦火を撒き散らす戦艦を攻撃するたび、彼の肉体は鳥へと固定化され、二度と人間に戻れなくなるリスクを負う。つまり、ハウルにとっての翼は「重荷」であり「呪い」そのものなのだ。敵からの逃避が、皮肉にも自己の喪失へと直結している。この絶望的な矛盾が、観客の胸を強く締め付ける。