世界各国のメディアやインバウンド旅行者が日本を訪れた際、強い驚きを覚える要素の1つが、街中に溶け込む鳥居や寺院と、人々の世俗的なライフスタイルの共存です。
欧米やイスラム圏では、宗教は「個人のアイデンティティの根幹」であり、所属するコミュニティや倫理観、法解釈まで規定します。そのため、「毎週教会に通わない」「特定の神を信じない」のに、受験シーズンになれば神社で絵馬を書き、お守りを肌身離さず持ち歩く日本人の態度は、非常にユニークな精神文化として映ります。
日本人の宗教観は「信じる(Belief)」という主観的確信よりも、「行う(Practice)」という身体的な作法や慣習に重きが置かれています。挨拶のようにお辞儀をし、手を合わせ、「いただきます」と命に感謝する。日々のマナーや倫理観の中に宗教的要素が溶け込んでいるため、あえて「私は宗教を信じている」と言葉で定義する必要を感じないのです。