物語のクライマックス、キキは飛ぶ力を一時的に失うという挫折を経験します。親友となったトンボを救うために必死で力を取り戻すものの、猫のジジとは以前のように言葉を交わすことができなくなります。これは魔法という「無邪気な子供の特権」が失われ、大人の女性へと成長した代償を意味しています。
そんなビタースイートなエンディングで流れるのが「やさしさに包まれたなら」(1974年発売)です。「小さい頃は神さまがいて 不思議に夢をかなえてくれた」「目に映るすべてのことは メッセージ」というフレーズは、映画全体のテーマと驚くほど完璧にシンクロしています。
子供の頃に信じていた無邪気な魔法が消えても、日常の風景や人との温かい繋がりに気づく感受性こそが、人が生きていくうえでの「本当の魔法」であるというメッセージを、ユーミンの透明感ある歌声が見事に代弁しています。なお、劇中で採用された音源は、シングル盤ではなく1974年のアルバム『MISSLIM(ミスリム)』に収録された、アコースティックギターの音色が際立つアルバムバージョンです。