なぜ美女や遊女が無残な死体に?九相図のモデルと不浄観の真相を暴く

なぜ美女や遊女が無残な死体に?九相図のモデルと不浄観の真相を暴く

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九相図の歴史を語る上で欠かせないのが、モデルとして語り継がれてきた伝説的な美女たち、すなわち檀林皇后(橘嘉智子)と小野小町の存在です。

嵯峨天皇の皇后であった檀林皇后は、類まれなる美貌の持ち主として知られていましたが、敬虔な仏教徒でもありました。伝承によれば、彼女は臨終に際して「我が遺体を墓に埋めてはならぬ。野原に放置して鳥獣に与え、肉体が朽ちていく様を人に見せて仏心の種とせよ」と遺言したとされています。この伝説に基づいて描かれたのが、名高い『檀林皇后九相詩絵巻』です。

一方、平安時代の美の代名詞である六歌仙のひとり、小野小町もまた九相図の代表的なモデルとされてきました。『小野小町九相図』では、華麗な歌人の姿から始まり、道端に打ち捨てられた遺体が朽ち果てるまでの悲惨な最期が克明に描かれています。

歴代モデルの真相について近年の美術史研究では、これらの絵図が実際の遺体を見て写生されたものではなく、仏教説話や民衆教化のために後世になって結びつけられたフィクションの側面が強いと指摘されています。しかし、「身分の高い皇后」や「天下の絶世の美女」であっても死の不条理からは逃れられないという物語は、人々の心を激しく揺さぶり、九相図の信仰的威力を絶大なものに仕立て上げたのです。

石川 優花
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石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。