歴史を紐解くと、このお茶の誕生には驚くべき「もったいない精神」とイノベーションが存在した。明治10年代、金沢の茶商たちがそれまで廃棄されることが多かった煎茶の「茎(ステム)」の部分に着目したのがすべての始まりだ。当時、高価だった葉の部分は一部の富裕層や輸出用として扱われていたが、庶民にも手頃で美味しいお茶を届けたいという強い思いから、茎を香ばしく炒りあげる製法が開発された。
城下町金沢の豊かな水質と、独自の食文化。これらと見事に融合した茎茶は、瞬く間に加賀藩ゆかりの地に根付いた。昭和天皇への献上を機に全国的な認知度を得た歴史もあり、高級感と親しみやすさという二面性を併せ持つ稀有な日本茶ブランドへと結実していったのだ。