彼の名を語るうえで、政治的・社会的メッセージを内包したラディカルなインスタレーションを避けて通ることはできない。とりわけ1970年代初頭から展開された「証言」シリーズは、半世紀以上を経た2026年の今なお、見る者の喉元に冷たい刃を突きつける。
自身の顔から直接石膏で型取りした無数のデスマスク。そこに原爆投下時の熱線や放射能を想起させる灰やガラス、金属片を焼き付けた。被爆者の苦痛、戦争の不条理、国家の暴力。それらを単なる記号としてではなく、窯の猛火で焼き締められた「物質の沈黙」として提示したのだ。
ウクライナや中東をはじめ、世界各地で戦火と分断が絶えない現在の地政学的危機のなかで、この「証言」シリーズを再展示する美術館が欧米で相次いでいる。工芸作家の範疇をとうに超え、時代に対する証言者として土と向き合ったその切迫感は、今の表現者たちが喉から手が出るほど欲している「真の強度」そのものだ。