健康や体型維持に対する価値観も、2026年の今、大きく変化した。ただ細いだけの身体や、見せるためだけに肥大させた筋肉ではなく、しなやかに動き、疲れにくい「機能美」を求める声が圧倒的だ。その点において、立ち技の芸術と称されるムエタイの身体操作は極めて合理的と言える。
パンチ一つ取っても、腕の力だけで打つわけではない。足の親指で床を掴み、骨盤を鋭く回転させ、そのねじれを肩から拳へと連動させる。キックに至っては、腹斜筋や背筋、インナーマッスルを総動員した全身運動そのものだ。わずか数十秒のミット打ちで心拍数は跳ね上がり、呼吸器系と筋力が同時に限界近くまで引き出される。ジムを出る頃には、日常のデスクワークで硬直していた関節が驚くほど滑らかに回り始めていることに気づく。