工房に隣接するギャラリースペースは、古い民家の梁や柱の温もりを活かした空間だ。足を踏み入れると、外の喧騒がふっと遠のく。木製のテーブルや使い込まれた古道具の棚の上に、マグカップや平皿、鉢、花器が整然と、それでいてどこか呼吸をしているかのように配されている。
大量生産の食器のように寸分違わず同じ形をしたものはひとつもない。釉薬のわずかな溜まり、火が描いた微細なグラデーション、轆轤(ろくろ)の回転が残した微かな指跡。工業規格では「個体差」や「ムラ」と切り捨てられるかもしれない揺らぎが、ここでは世界にひとつだけの個性として静かに輝いている。訪れた人々は時間を忘れ、一つひとつの器を持ち上げ、重みと手触りを確かめる。その姿はどこか、旧友と言葉を交わしている光景にも似ている。