世渡り上手という言葉の裏には、常に「嫌われるリスク」が潜んでいます。同じように要領よく立ち回っているように見えても、なぜある人は「ずるい」と疎まれ、別の人は「人たらし」として全方位から慕われるのか。その境界線は、行動の根底にある「利己」か「利他」かの動機にあります。
世渡り上手が嫌われる理由の最たる例は、「人によって露骨に態度を変えること」です。上司や権力者には媚びへつらい、部下や立場の弱い相手には横柄に振る舞う姿勢は、周囲に強烈な不信感を与えます。また、他人のアイデアを自分のものとして報告したり、都合の悪い責任を他人に転嫁したりする行動は、短期的には出世できても、いずれ「ずるい人間」として社内で孤立します。
一方で、本物の人たらしと呼ばれる人々は、「相手の自尊心を絶対に傷つけない」という鉄則を守っています。手柄を独占せずに関わったメンバー全員の名前を報告に挙げ、失敗したメンバーがいれば矢面に立って庇う姿勢を見せます。彼らが組織を泳ぎ渡る目的は自分ひとりの保身ではなく、チームを円滑に動かして全体の成果を最大化することにあります。この差が、年月を経て埋めようのない信頼の格差となって現れます。