日本中を巻き込んだ熱狂の一方で、瞬く間に広がったのが「なめ猫は死んだ猫を使っている」「剥製にワイヤーを入れてポーズをとらせている」というショッキングな噂でした。この都市伝説がここまで根強く定着してしまった背景には、当時の時代状況と人々の心理が複雑に絡み合っています。
噂が広まった最大の要因は、「猫が服を着て二本足で直立する」という不自然極まりないポーズにありました。人間のように背筋を伸ばして立つ猫の姿は、当時の人々にとってあまりにも非現実的であり、「生きている猫にこんなポーズができるはずがない」「死後硬直を利用しているのではないか」という猜疑心を生む土壌となったのです。
さらに1980年代初頭は、「口裂け女」に代表されるオカルト・都市伝説ブームの全盛期でした。情報伝達の主役が口コミや週刊誌のゴシップ記事だった時代、爆発的ブームに対するやっかみや過熱した関心が「残酷な裏話」として歪められ、全国の小中学生を中心に瞬く間に拡散していきました。動物愛護団体からの抗議や問い合わせも相次ぐ事態となり、「なめ猫虐待疑惑」として社会問題の一角を占めるに至ったのです。