ネット上には「格安サロンは粗悪なジェルを使っている」「自爪を削らないパラジェルなら絶対に傷まない」といった極端な言説が散見される。しかし、ここには業界構造特有のバイアスが潜んでいる。
まず「格安サロン=危険」という図式は、半分正しく、半分は誤りだ。ワンカラーを3,000円台〜4,000円台で提供できるサロンのカラクリは、材料の品質ではなく「回転率と工程の徹底的なマニュアル化(分業制)」にある。ジェル自体の品質は国内安全基準をクリアしたものが大半だが、1席あたりの施術時間を30〜40分で固定するため、念入りな甘皮ケアや自爪の個別チェックを省略せざるを得ない構造になっている。
また、「パラジェル信奉」にも落とし穴がある。パラジェルは確かに爪表面をサンディング(研磨)しないため、爪の層を削るリスクを排せる。しかし、密着度が高い成分特性上、「オフする際の技術」が未熟であれば、アセトンによる乾燥や無理な削り落としによってかえって爪を痛めてしまう。自爪の健康を守る鍵は「何を使うか」ではなく、「誰がどのようにオフするか」という施術者の手指の技量にかかっている。