近年、現地で問題視されているのが、観光客の無知な行動が引き起こす噛みつきや突き飛ばしの被害だ。特に多いのが、カメラを向けながら餌をあげる振りをして焦らす「じらし行為」である。
現地で保護活動を続ける一般財団法人奈良の鹿愛護会によれば、鹿が首を傾けてお辞儀をするような仕草は、感謝ではなく「早く頂戴」という催促のポーズだという。これを面白がって焦らすと、痺れを切らしたシカが服を引っ張ったり、腹部に噛みついたりする。秋の発情期には雄ジカの角突きの危険性が跳ね上がり、春から夏にかけての出産期には子ジカを守る母ジカが極めて攻撃的になる。可愛いからと無防備に手を出すのは、あまりに危険だ。