「納豆に生卵を混ぜて食べるのは、栄養学的にNGなのか?」——この問いがSNSや健康メディアで大きな議論を呼んでいる。結論を急ぐ前に、双方の持つ成分が体内で起こす化学的な現象を紐解く必要がある。
カギを握るのは、納豆に豊富に含まれるビタミンB群の一種である「ビオチン」と、生の卵白に含まれるタンパク質「アビジン」の相互作用だ。アビジンはビオチンと非常に強力に結合する特有の性質を持つ。生卵の白身と納豆を同時に口にすると、腸管内で二つの成分が固く結びつき、身体へのビオチン吸収が大幅に妨げられてしまうのだ。
ビオチンは皮膚や髪の健康維持、体内のエネルギー代謝をスムーズに回すために欠かせない重要成分である。健康のためにと良かれと思って選んでいた「生卵かけ納豆ご飯」が、思わぬ形で栄養の摂取効率を下げていたという事実は、多くの消費者にとって驚きをもって受け止められている。