致死量には遠く及ばないとしても、日常的に極端な大食いを続けた場合に懸念されるのがセレン中毒です。セレンは抗酸化作用を持つ必須微量ミネラルですが、必要量と中毒量の幅が非常に狭いという特性を持っています。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」において、成人のセレンの耐容上限量は1日あたり約350〜450μg(年齢・性別により異なる)と定められています。納豆だけでこの上限を超えるには1日30パック以上が必要となるため、通常の食事ではまず届きません。しかし、セレンを含むサプリメントを併用していたり、極端な偏食で納豆を毎日十数パック食べ続けたりした場合には、慢性セレン中毒のリスクが浮上します。
セレン中毒に陥ると、初期症状としてニンニク臭を帯びた呼気(ニンニク口臭)、爪の変形や脱落、脱毛、胃腸障害、末梢神経障害などが現れます。重症化すると肺水腫や肝硬変、心筋障害を引き起こす危険性があるため、「体に良いから」と常軌を逸した量を食べ続ける行為は厳に慎まなければなりません。