朝ドラ『スカーレット』で神山氏の生き方に興味を持った方にぜひ触れていただきたいのが、2005年に公開された映画『火火(ひび)』(高橋伴明監督)です。
主演の実力派女優・田中裕子さんが神山清子氏を熱演した本作では、NHK朝ドラでは描き切れなかった「夫との壮絶な別れ」「貧困の生々しさ」「息子を喪った母の慟哭」が一切の美化を排してリアルに描かれています。
朝ドラ『スカーレット』が日々の暮らしの機微や人と人との温もりを丁寧にすくい上げた名作であるならば、映画『火火』は神山清子という一人の女性が放った剥き出しの生命力を体感できるドキュメンタリー的傑作です。双方を見比べることで、彼女の歩んだ軌跡がより重層的に立ち上がってきます。