心理学における表情研究のパイオニアであるポール・エクマン博士の業績は、感情と顔面筋肉の結びつきを科学的に証明した。彼が発見した「微表情」とは、人間が意図的に感情を隠そうとした瞬間に、わずか25分の1秒という極小の時間だけ顔に表出する抑圧された感情の動きである。
どれほど完璧に友好的な人物を装っていても、嫉妬や敵意が芽生えた瞬間、微表情は嘘をつかない。鼻をわずかにあげる軽蔑の仕草や、一瞬だけ眉間が集まる不快感の兆候。これら非言語コミュニケーションの微細な漏れを察知できれば、相手の「裏の顔」を早期に見抜くことが可能になる。
言葉による弁明は容易だが、自律神経系に支配された顔面筋肉の動きを完全にコントロールすることは不可能に近い。洞察力を研ぎ澄ませることで、相手の言葉に潜む罠を事前に察知できる。