牡蠣料理の成否を分けるのは、何と言っても最初の下処理です。パックから出して流水でさっと流すだけでは、ひだの奥に入り込んだ細かな汚れや酸化した脂質を落としきれず、加熱した際に特有の臭みとして現れてしまいます。
臭みを完全に断ち切り、旨味をしっかり閉じ込める手順は次の通りです。
① 片栗粉と塩による吸着洗浄:
ボウルに牡蠣を入れ、大さじ1杯の片栗粉とひとつまみの塩を加えます。指先で優しく円を描くように揉み込むと、片栗粉が灰色に濁り、細かい汚れやぬめりを吸着してくれます。その後、冷水を入れたボウルの中で2〜3回水を替えながら優しくすすぎ、ペーパータオルで水気をしっかり拭き取ります。
② プロの一手間「酒煎り(さかいり)」:
小鍋に水気を切った牡蠣、酒大さじ1、薄口醤油小さじ1/2を入れ、中火にかけます。鍋を揺すりながら1分ほど加熱し、表面がふっくらと膨らんだらすぐに火から下ろして牡蠣を取り出します。この工程により、アルコールが揮発する際に残った臭みを抱き込んで飛ばし、身がキュッと引き締まります。
なお、使用する牡蠣は「生食用」よりも加熱用牡蠣がおすすめです。加熱用は栄養豊富な沿岸部で育っているため風味が濃厚で、火を通した際にも身痩せしにくく、茶碗蒸しの主役にふさわしい深いコクを生み出してくれます。