木瀬部屋は、角界屈指の大所帯として知られる。率いるのは、現役時代にしぶとい取り口で鳴らした木瀬親方(元幕内・肥後ノ海)だ。多数の関取を輩出し、活気ある稽古風景が定評だった名門で、一体どのような異変が生じていたのか。
問題の端緒は、若手力士の間で日常化していたとされる過剰な「指導」だった。土俵上での激しいぶつかり稽古と、生活空間での暴力。その境界線が曖昧なまま放置されていた実態が、徐々に浮かび上がってきた。被害を受けたとされる力士は心身ともに追い詰められ、誰にも相談できないまま、最終的に部屋を去る決断を下さざるを得なかったという。密室と化した部屋の内部で、自浄作用は機能していなかった。