木村一八の若い頃を語る上で欠かせないのが、1980年代半ばのすさまじい熱狂です。1985年に放送されたTBS系ドラマ『毎度おさわがせします』では、思春期の性やツッパリカルチャーをコミカルに描き、共演した中山美穂らとともに一躍社会現象を巻き起こしました。さらに1987年の映画『シャコタン☆ブギ』では主人公・ハジメ役を演じ、若者のカリスマとしての地位を決定づけます。
しかし、その栄光はあまりにも脆く崩れ去りました。1988年11月、当時19歳だった木村一八は、東京都港区六本木の路上でタクシー運転手に対して激しい暴行を加え、被害者に脳内出血を伴う重傷を負わせるという事件を引き起こします。
当時の報道や関係者の証言によると、飲酒後の些細なトラブルから感情に歯止めが利かなくなったことが直接の原因でした。現行犯逮捕された木村一八は、未成年であったことから家庭裁判所へ送致され、最終的に初等少年院送致の保護処分が下されました。当時、人気絶頂のアイドル俳優が実名報道とともに少年院に収容される事態は、昭和芸能界を揺るがす前代未聞のスキャンダルとして世間を震撼させました。
この事件は、本人のみならず父親である横山やすしの芸人人生にも決定的な打撃を与えます。やすしは息子の不祥事を受けて無期限の謹慎処分を受け、涙ながらに謝罪会見を行いました。後の自著や関係者インタビューにおいて、木村一八は当時の自身の精神状態について「若さとちやほやされる環境に溺れ、自分を見失っていた」と率直に振り返っています。